個人事業主から法人に組織を変えることを「法人成り」と言います。
このとき税金で注意しなければならないことが、いくつかありますが、その一つが「予定納税の減額申請」です。
そこで、法人成りを検討する人のために、予定納税の減額について紹介します。
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法人成り1年目の所得税の予定納税
予定納税の計算
事業をしている個人事業主の場合、譲渡所得や一時所得などがなければ、下記のその年の申告納税額が15万円以上になると、予定納税が必要となります。
予定納税額は、予定納税基準額である申告納税額の3分の1の金額を7月と11月の末日に各1回ずつ納付します。
予定納税は、所得税の前払いのため、予定納税で前年の所得税の3分の2を前払いすることになり、翌年に提出する確定申告書に予定納税額を記載し、3月(または4月)は残りの所得税を納税することになります。
しかし、法人成りをして個人事業主の廃業届を提出すると、基本的に確定申告の必要がなくなり、予定納税の意味がなくなってしまいます。
そこで、廃業など一定の事情がある人は、予定納税の減額申請が認められています。
予定納税基準額
予定納税の減額申請
法人成りをすると、代表である事業主にも給与(役員報酬)を支給することができます。
給与になることで、毎月の給与から所得税が源泉徴収され、法人が年末調整を行うことで、個人としては確定申告の必要はなくなります。
(注意)給与を2ヶ所から支給されていたり、給与以外の所得(不動産所得など)があるときは、確定申告が必要
法人成りをした最後の年の予定納税基準額が15万円以上となる場合は、廃業届を提出していても予定納税の通知が届いてしまいます。
そこで、予定納税の必要がない場合は、やや面倒ですが、「予定納税の減額申請」を提出する必要があります。
書き方は、とても簡単で、基準日時点の所得と所得税の見積額を記載して提出するだけです。
法人成りをして事業所得から給与所得に変わった場合は、事業所得の金額を現在の役員報酬の1年分の変えて計算するだけです。
所得控除や税額控除は特別なことがなければ前年と同じでも問題ありません。
国税庁ホームページより
そのまま予定納税してしまった場合
予定納税の減額申請を知らずに、そのまま予定納税をしてしまっても慌てる必要はありません。
これも少し面倒ですが、年末に法人から発行される源泉徴収票をもとに、3月に確定申告するだけです。
その際に、予定納税額を確定申告書に記載することで、納税しすぎた所得税は還付されることになります。
まとめ
法人成りをした人のために、予定納税の減額申請について紹介しました。
減額申請は、廃業だけでなく休業や経営不振の場合も提出できます。
いざというときのために、裏技の一つとして知っておくと良いかもしれません。