確定申告や相続税の申告が必要になったときに、身内などの親戚や学生時代の友達で、税理士になった人に頼むことがあると思います。
近い間柄なので、頼みやすいですし、報酬も相場より下げてくれるかも、という甘い考えもあるかもしれません。
しかし、近い間柄だからこそのリスクもあります。そこで、身内や友達に税務申告を依頼するときの注意点を考えてみました。

友達・親戚に収入や財産を見られる
税理士が税務申告書を作成するということは、収入内容や支出内容、財産の内訳をほぼ全部見られるということを意味します。
所得税の確定申告を依頼するなら、給与や不動産・個人事業の収入金額は当然チェックされます。経費の支出先もチェックされますし、事業用の出納帳から家事費も支出しているときは、知られたくないプライベートの支出も見られることになります。
相続税の申告書だと、被相続人だけでなく世帯でどれだけの財産があるかも見られることになります。不動産や有価証券、保険証券の保有状況はチェックされますし、預金通帳を数年分チェックするため、贈与や寄付などの資金の流れもチェックされます。
さらに、戸籍謄本もチェックするため、婚姻や離婚の状況も見られます。
言いたいことを言えない
友達や親戚の税理士に頼むメリットは、何でも言いやすいというメリットがありますが、逆に近すぎる間柄だと、気を使って言いにくいというデメリットにもなります。
具体的には、共通の友人グループや親戚筋の間で悪評をたてられることを恐れたり、友人や親戚だからこその義理人情を気にして文句を言えないことがあります。
特にこれは、相場の税理士報酬よりも低く依頼できたときは、なおさら言えない状況になりやすくなります。
金の切れ目が縁の切れ目となることも
お金や税金が絡むと人間が変わることがあります。どんなにできた人でも、感情的になることがあります。
税務申告書はそれほど簡単にできるものではありません。税務調査もありますし、場合によっては修正申告が必要になり、追加の税金や罰金も発生することがあります。
そのようなときに、税理士との間に亀裂が生じる可能性があります。学生時代からの友人や、小さい頃から面倒を見ていた親戚と、税金を巡ってトラブルになることもあるかもしれません。
第三者の税理士なら契約解除で終わりますが、親戚や友人だとその後も影響が残る可能性があります。
まとめ:近い間柄だこそ税理士探しは慎重に
友人や親戚の税理士に、税務申告書の作成を依頼するときの注意点を紹介しました。
近い間柄だと気軽に頼めそうですが、お金や税金が絡む申告書だからこそ、第三者のほうが良いということもあります。
もちろん、杞憂に終わって何の問題もない可能性もありますが、個人的には、友人や親戚に申告を頼まれたときは、リスクを熟考して安易に返事をしないようように気をつけています。
なぜなら、税務申告程度でこれまでの関係を失いたくないからです。
