電車移動の暇つぶし用に『その節税が会社を殺す』という本を読みました。
開業して事業が軌道になると、どうしても税金の負担は大きくなってきます。
そんなときに、税金アレルギーを持つ社長は、いろいろな節税対策をして税金を減らそうとします。
しかし、結果としては、税金と一緒に手元資金も減らしてしまい、最終的に会社をダメにする。
・・・というあらすじです。少しだけ紹介します。
節税すると手元資金が減る
税金アレルギーがある社長は、税金を払うとお金が貯まらない。と思いがちです。
どうにかして税金を減らすために、いろいろな節税商品に手を出します。
その結果、税金は減ったものの、逆に手元の預金残高が増えないどころか減る結果となります。
その理由は簡単で、現在の法人税の実行税率は20数%程度と低く、税金を減らすにはその何倍もの経費を計上しないといけないからです。
仮に100万円の税金を減らそうと考えると、500万円程度の経費を計上しないといけないこととなり、手元の資金は節税せずに税金を払うより減ることになります。
※100万円の経費を作っても、20数万円の節税効果にしかなりません。
税金アレルギーがある社長は、メガネが曇ってしまい、預金残高が減ったことに気づかずに、税金が減ったことに喜ぶのです。
保険が節税にならない理由
節税対策の代表が保険ですが、これも保険の営業マンのセールストークに惑わされてはいけない。と言っています。
契約時に保険料を支払うことで、それが経費となり法人税が減りますが、数年後の満期保険金やピークの解約返戻金は、収入となるため法人税が課税されます。
つまり、税金の負担を数年後に先延ばししただけで、節税にならないのです。それどころか解約返戻率を考えると損になることもあります。
役員報酬を増やすと逆に税金を増やす
役員報酬を増額改定することで、法人税を減らす方法も税金と社会保険料を総合的に考えると現実的ではない。と言っています。
役員報酬は不相応に高額でない限り経費となるため、高く設定すればその分だけ法人税も減少します。
しかし、役員報酬を上げると、それに比例して個人の所得税と住民税も増えます。そして社会保険料(健康保険と厚生年金保険)も連動して増えます。
この結果、総合的な負担(法人税、所得税、住民税、社会保険料)は、役員報酬を改定せずに負担した法人税よりも多くなってしまいます。
税金アレルギーがある社長にこの仕組を説明しても、目先の法人税が増えるので理解してもらえません。
まとめ
本の感想としては、税金の計算方法を知っている税理士からすると、当然のことなので特段参考にはなりません。(最終的に融資の話に持っていくのが少し強引でした。)
しかし、社長と話していると、税金アレルギーを持つ社長も多く、このシンプルな考え方を理解している人は多くありません。
そう考えると、これから開業する社長さんにはおすすめの本かもしれません。
