決算期に消費税の納税額を見て『多すぎる』とか『払えない』と驚く事業主がいます。
特に、開業3期目で初めて消費税の納税義務者になった事業主によくある反応です。
しかしこれは、よく考えるとおかしい話で、消費税を負担したのはお客さんで、事業主はそれを預かっているだけです。
事業主が負担するのは、支払った方の消費税だけということになります。
それなのに、納税のタイミングになると戸惑う事業主は意外と多くいます。
免税期間の消費税は益税
消費税は、事業者であれば基本的に課税事業者になります。
しかし、売上が少ない事業者に限定して、納税義務を免除するという規定になっています。
この記事の記載時点では、免税事業者であっても、お客さんに消費税を請求しても良い規定になっているため、免税事業者の期間は、預かった消費税をそのまま事業主の収入にすることができます。
これを益税と言いますが、消費税率が上がると益税も大きくなり不公平になるため、インボイス制度の導入が決まっています。
お客の消費税を預かっている意識
消費税の計算を大雑把に言うと、お客様から預かった消費税から自分が支払った消費税を控除し、差し引きした残額を納税する。となります。
これは少しテキストを読めばすぐに分かりますし、特に難しいことではありません。
しかし税金に興味を持たない事業者は、課税事業者になっても免税事業者と同じように、お客さんから預かった消費税を自分の収入と勘違いしています。
そのため、預かった消費税分も含めて、毎日の経費や人件費の支払いに充ててしまい、いざ納税のタイミングになると資金繰りが間に合わない。という事態が生じます。
消費税率が上がるほどに
消費税率は10%に上がりますが、これが最終税率ではなく、今後15%そして20%(またはそれ以上)と上がっていくことが予想できます。
そうなると、消費税を滞納する事業者が頻発することが予想できます。これは税率が上がるほどに増えると予想できます。
しかし、これは制度の不備だけが問題だけではなく、事業主の無知や不勉強も原因の一つかなと思ったりもします。
なぜなら、税金に興味がない事業主が意外に多いからです。事業をしていれば必ずつきまとう税金について興味を持たない事業主って結構多くいます。
少しでも知っていれば、合法の節税方法も見えてくるのに、不勉強が原因なのに裏技の節税スキームをやりたがったりします。(ウルトラCの節税なんてないのに)
また、お客さんから預かった消費税でさえも、事業資金に使わないと、事業が回っていかないという事業主が多いからです。
消費税の怖いところは、赤字であっても納税になることです。そのため、薄利多売で従業員が多い事業だと資金繰りで消費税が納税できないケースも出てくることがあります。
事業主は、消費税は自分が負担するのではなく、お客さんが負担したものを一時的に預かっているだけという意識を持つことが必要だと思います。
そして、税理士であれば、しっかりの納税管理もしていかなければいけないのかもしれません。
