2017年12月に平成30年度税制改正大綱が自民党HPから公表され、その後2018年2月2日に国会に提出されました。
そのなかで、個人事業主やフリーランスが注目すべきものとして「青色申告特別控除額の減少」と「基礎控除額の増加」がありました。
そこで今回は、個人事業主やフリーランスに関係する改正についてまとめてみました。
平成30年度(2018)税制改正大綱
基礎控除額の10万円増加
基礎控除額とは所得税の計算上、所得金額から控除することができる所得控除の一つです。
基礎控除は、所得税が課税される人なら誰でも対象なので、事業所得がある個人事業主やフリーランスだけでなく、給与所得がある会社員(サラリーマン)も対象です。
この基礎控除額が38万円から48万円に増加します。
ただし、合計所得金額が2,400万円を超える個人は、基礎控除額が段階的に減少し、2,500万円を超えた時点で基礎控除額は0になります。(高額納税者でなければ関係ない!)
青色申告特別控除額の10万円減少
青色申告の承認を受けている個人事業主は、事業所得から最高で65万円を控除できます。
しかし今回の改正で、この青色申告特別控除額が65万円から55万円に減少します。
なお、簡易的な帳簿のみを作成し、決算書に貸借対照表(B/S)を添付しないことで、10万円の青色申告特別控の適用を受けていた個人事業主は、改正後も変わらず10万円の控除を受けられます。
給与所得控除も減少
「個人事業主だけ減少してズルい。」と思うかもしれませんが、それでは不公平となるため、サラリーマンについても給与所得控除額が10万円減少します。
さらに、給与収入が850万円を超えると、給与所得控除額の上限195万円になり頭打ちとなります。
e-Taxによる電子申告で10万円控除
ここからが本題ですが、青色申告特別控除額が10万円減少してしまう個人事業主ですが、申告方法をe-Taxによる電子申告にすることで55万円から65万円に増加することができます。
なお、改正内容では「電子帳簿の保存またはe-Taxによる電子申告」となっています。
紙で出力して、税務署に持参したり郵送すると、改正により55万円の控除額となりますが、マイナンバーカードとカードリーダーを使ってe-Taxから電子申告すると10万円控除額が加算されます。
2020年分の確定申告から適用
2018年度の税制改正ですが、実際に適用されるのは2020年分の確定申告となることが予定されています。
2018年分、2019年分は、まだ改正の影響を受けないため注意が必要です。
まとめ:個人事業主は電子申告しよう
個人事業主に影響を与える平成30年度税制改正についてまとめました。
トータルで考えると、基礎控除額が10万円増加し、青色申告特別控除額が10万円減少するため、全体ではプラスマイナスゼロとなります。
しかし、個人事業主やフリーランスについては、e-Taxで電子申告することで、改正前よりも10万円分所得控除が増えます。
改正前 基礎控除38万円+青色申告特別控除65万円=103万円
改正後(電子申告なし) 48万円+55万円=103万円
改正後(電子申告あり) 48万円+65万円=113万円
改正を機会にマイナンバーカードとカードリーダーを準備してもいいかもしれません。
