キャッシュレス化が普及し便利になる反面、交通系ICカードに始まりクレジットカード、QRコードなど決済方法が多様化しています。
今はポイント還元を使ったユーザー獲得競争が激しく、キャッシュレス戦国時代の様相ですが、今後は淘汰が進むと予想されています。
この便利なキャッシュレス決済ですが、一方多様化で会計や経理に関しては弊害もあります。
そこで、便利なキャッシュレス決済の裏にある弊害を紹介します。

キャッシュレス化で資産が見えづらい
かつて簿記3級を勉強した頃は、キャッシュレスと言えばクレジットくらいでした。
流動資産と言えば、現金と普通預金、当座預金など限定的で、決済手段と言えば、振り込みと小切手、手形と言った限定的なもので、キャッシュレスなんて重要視されていませんでした。(手形の処理のほうがテキスト的には重要でした)
昔と比べて決済手段が増え便利になりましたが、帳簿では逆に財務状況の把握が難しくなった弊害もあります。
昔は、現金出納帳と預金通帳をチェックすれば、事業の資金を簡単に把握できましたが、今は現金や通帳の残高が少ない状態でも実はキャッシュレスとして見えない資金を持っていることも考えられます。
個人事業主でも法人でも貸借対照表を作る場合は、この見えない資金がどこまで正確に反映されているのか正直なところ疑問です。
交通系ICカードで買い物しているケース
SUICAやICOCAなど交通系ICカードへのチャージ自体は支出ではないので経費ではないけれど、何も考えずに旅費交通費で処理しているケースも見受けられます。
また、交通系ICカードで買い物をしても、本来は支払内容で勘定科目を選択するところを、すべて旅費交通費にしているケースも見たことがあります。(SUICAの利用履歴は確認することが可能)
こういうところも便利なキャッシュレス決済の弊害とも言えるのかもしれません。
ポイント還元の処理が面倒
キャッシュレス決済の魅力のひとつがポイント還元ですが、帳簿上での処理がけっこう面倒です。
ポイント還元が商品そのものに対するものか、決済する総額に対するものかで処理方法が変わります。
前者だと商品対価の直接的な値引きとして判断し、後者だとポイント還元を雑収入として処理することになります。
さらに、消費税の10%と軽減税率の8%の判断も加わることで、処理の難しさに拍車をかけています。
おそらく経理担当者の手間は以前の3割増しから5割増しと予想します。
今後のキャッシュレス化はどうなるの
多様化するキャッシュレス決済は便利な半面、会計に関しては資金繰りを見えづらくしたり、帳簿の作成を難しくする弊害があることを紹介しました。
今後、キャッシュレス手段が淘汰されていくにしても、便利さの裏にある弊害は消えないと予想できます。
経理担当者による手作業による帳簿の作成は難しくなり、否応なく自動入力やICT化を余儀なくされていくのかもしれません。
そして、経理担当者は10年後に消えているのかもしれません。