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免税事業者が消費税インボイスで気をつけること

投稿日 : 2021年8月16日 / 更新日 : 2021年8月16日

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令和5年10月1日から「消費税のインボイス制度」が導入される予定です。
コロナ禍で経済が混乱する中で本当に導入されるか疑問も残りますが、制度設計自体は既に完成しています。
そのなかで、これまで消費税の申告が不要だった免税事業者にも大きな影響を与えることになります。
そこで、消費税の免税事業者が消費税のインボイス制度で気をつける点をまとめてみました。
※この記事は令和3年8月時点の情報に基づいているため、その後の更新に対応していないことをご留意ください。

消費税のインボイス制度とは

消費税のインボイス制度とは、売る側が買う側に正確に消費税を伝える方法のことで、売る店舗が発行する請求書(領収証や納品書・レシートなどを含む)の書式が変わります。

この請求書を「適格請求書」と言い、これまで請求書の記載内容と大きく変わる点は、これまでの記載内容(日付や金額、商品名など)に追加して「発行側の登録番号」「消費税の適用税率」「消費税額」を記載する必要があります。

消費税を申告する納税義務者は、この請求書を確認しながら帳簿を作成し消費税を計算します。
自販機など一部適格請求書なしでも大丈夫なものもありますが、基本的には消費税の計算には適格請求書が必要となります。

インボイス制度で免税事業者は消費税を請求できない

制度内容を知っても免税事業者だから関係ないよ。と思っているのは大きな間違いです。
適格請求書を発行できるのは国税庁に登録した登録事業者に限定されます。

そのため、未登録の免税事業者はインボイス制度が始まると、買う側に対して消費税を請求できなくなります。
これまで免税事業者は消費税を申告納付しなくても、価格にプラスして8%または10%を上乗せして代金を受け取っていても問題ありませんでしたが、制度が始まると上乗せ請求ができなくなります。

国税はこれまで消費税を納付しない免税事業者が、消費税を徴収している点を問題視していました。
インボイス制度でこの益税問題にメスを入れ、消費税を取るなら消費税を払え。という改革をしたことになります。

インボイス制度で免税事業者は取引から排除される

さらにインボイス制度が始まると、免税事業者は取引先から切られる可能性があります。
免税事業者は一人親方や家族経営の零細企業が多いため、これは大きな問題となるはずです。

インボイス制度では、仕入れ側の事業者が消費税を計算するために適格請求書が必要となり、適格請求書でない書類をもらっても仕入税額控除※ができないため、消費税の計算で不利となります。
※仕入税額控除とは、消費税の計算で支払った消費税を納付する消費税から控除できる仕組み
※免税事業者からの仕入れでも、インボイス制度開始3年間は80%、その後3年間は50%を控除できる経過措置あり

仕入れ側の事業者からすると、適格請求書を発行してもらえる取引先を選ぶのは自然なことなので、免税事業者が取引から外される可能性は考えられます。

免税事業者がインボイス制度で取るべき対策

では免税事業者はどうすれば良いのでしょうか。と言えば、適格請求書を発行できるように国税庁に登録するのが現時点のベターな回答です。

ただし、適格請求書の発行事業者として登録し「登録番号」の発行を受けるためには、自分自身も「課税事業者」となる必要があるため、登録に合わせて「消費税の課税事業者選択届出書」も提出することになります。

登録事業者になった免税事業者(もう免税事業者ではないけれど)は、これまでの請求書や領収書の書式を変更し、消費者や取引先に対して正々堂々と消費税を請求することになります。
そして反対に、消費税の納税義務者となったため、仕入れ側から適格請求書をもらって消費税の計算をして、申告納付することになります。

さいごに、免税事業者が取れるもう一つの道

今回は、消費税のインボイス制度で免税事業者が不利な状況に置かれること、
そして、そんな免税事業者が取るべき対策について、現時点でわかる範囲でまとめてみました。
くわしくは国税庁のホームページに特設ページがあるので参考にしてみてください。

さいごに免税事業者が取るべきもう一つの道も紹介します。
それは、そのまま免税事業者を貫く道です。

一般消費者相手のBtoCビジネス(小さい飲食店など)では、取引相手は一般消費者なので取引先から排除されることはありません。
販売価格に消費税をプラスすることはできなくなりますが、今の税抜価格にプラス10%した金額を販売価格に変更することで対応はできます。
ただし、これは実質的な値上げになるため、一部の客は離れるかもしれませんが、消費税を納税しないのですから仕方ありません。

また、企業相手のBtoBビジネス(一人親方など)でも、一部の取引先から排除されたり、消費税を上乗せできずに利益率が下がることを受け入れることができれば、免税事業者のままでも構いません。
逆に、インボイス制度で増える事務負担や、消費税の計算で会計事務所への顧問料が上がることを避けられるので、どっこいどっこいという考え方もできるかもしれません。

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