コロナ禍で売上が減少した事業者に対して、アフターコロナに向けて事業内容を転換する補助金(「事業再構築補助金」)が国主導で実施されています。
飲食店はもちろん、美容室でも対象となるケースが事例として出ているので紹介します。

申請可能な条件
事業再構築補助金の主要要件は以下のとおりです。
○売上が減少している・・・コロナ前と比較して10%以上減少
○新規事業に取り組むこと・・・新分野へ展開、業態の転換、業種の転換、事業再編
○認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
上記の要件が基本となり、その他に公募要領で詳しい要件が記載されています。
大まかに言うと、コロナ禍で売上が減少し、それをアフターコロナに対応しつつ回復するために、新しい事業を認定支援機関と計画する。というものです。
裏を読むと、売上が減少しておらず、単に新規事業をしたいだけなら採択しませんよ。そして、アフターコロナを見据えない既存の事業への転換も採択しませんよ。と言っています。
補助金額&補助率
○通常枠
中小企業者等:100万円~6,000万円(補助率2/3)
中堅企業等 :100万円~8,000万円(補助率1/2、4,000万円を超える部分は1/3)
○卒業枠※
中小企業者等:6,000万円超~1億円(補助率2/3)
※卒業枠・・・400社限定。事業計画期間内組織再編など中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠
○グローバルV字回復枠※
中堅企業等:8,000万円超~1億円(補助率1/2)
※グローバルV字回復枠・・・100社限定。グローバル展開を果たす事業であることなど一定の要件を満たす特別枠
美容室の活用事例
事業再構築補助金のウェブサイトの中で美容室の業態転換の一つとして紹介されています。
通常の店舗経営をしていたけれど、売上が減少したことで、訪問美容サービスへ業態転換をするケースです。
ポイントは、完全に業態展開する必要はなく、既存の店舗経営を継続しつつ新しい事業を開始することが可能なことです。
また、訪問美容サービスは既にあるため、事業計画書で新規性や独自性を示す必要があり、かつ3年から5年で総売上高に占める訪問美容サービスの売上が10%以上であることを示す必要があります。

美容室の具体例として挙げられているのは訪問美容サービスへの業態転換ですが、この他にも自分で考えた新規事業でも申請可能です。
僕がパッと考えただけでも以下のように可能性はあります。
○余剰スペースでの飲食店の開業
余っている店舗スペースの一角で、カフェスペースを作り飲食店を開業する
○余剰スペースでのコアワーキングスペースの運営
住宅街にある美容室の余剰スペースを活用し、テレワークする人へコアワーキングスペースを運営する
○健康・美容関連商品のECサイトの構築
対面販売が難しいアフターコロナに向けて、ECサイトや注文管理システムを構築しネット販売を強化する
○オンラインサービスを提供する
美容院へ来られない顧客に対し、美容やメイク、セットのノウハウを提供する
さいごに
税理士として仕事をしていて、コロナ禍で美容院の売上は、一時的に激減しましたが、2020年後半からは回復してきてコロナ前に戻ったり、逆にコロナ前よりも伸びている店舗があります。
一方で、コロナ前に戻らない店舗もあり、三者三様といった感じで正確に業界の状況をつかめていません。これを個人の問題として片付けるのは簡単ですが、構造的な問題を探る必要もあると感じています。
もし、売上が戻らず打開策が必要だと感じている経営者がいるなら、この事業再構築補助金を活用してみるのもいいかもしれません。
なお補足ですが、事業再構築補助金は競争率が高いせいか採択率は低く、かつ予算の上限もあるため、なかなか採択されない。という話も聞きます。
そのような条件下では、より完成度の高い事業計画書が求められるのでしょう。
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