節税の方法として昔から言われているのが「法人成り」です。
法人成りとは、個人事業主が事業を法人に組織替えすることです。
個人事業として開業し軌道に乗ると税金の負担が重くなり、何とかしたいと考えて検索したときに、最初に目がつくのが法人成りだと思います。
そこで、深く仕組みを知らずに、法人成りしても後々後悔することになるかもしれません。
法人成りが節税になると言われた理由と、大きな節税にならない理由を紹介します。
※個人的見解も入っていますし、細かい条件等は考慮していませんので、悪しからず。
法人成りが節税になると言われていた理由
「法人成り=節税」というイメージができた理由に、健康保険や厚生年金を含めた社会保険料が全く考慮されてないからだと思います。
数年前までは、法人であっても社会保険に未加入の法人は意外と多かったのですが、昨今は法人番号の活用もあり、加入義務がかなり浸透してきました。
社会保険に未加入であれば、社長の社会保険料はもちろん、従業員の社会保険料の半分(労使折半)を負担する必要はありません。
社長の自分に報酬を出して経費を増やして節税し、社会保険料の会社負担がなければ節税しつつ、資金繰りも楽になるのは当然です。
このような、社会保険の未加入という前提のもとで、節税になるというイメージが作られていったのだと思います。
法人成りが節税にならない理由
社会保険料以外にも法人成りが節税にならない理由を挙げていきます。
1.消費税の免税期間
法人成りで消費税の免税期間を合法的に使える。ということも言われますが、
免税期間は所詮いつかは終わります。短ければ1年以内です。
そんな短期間のために、数十万かけて法人成りするのはもったいありません。
2.法人格というもう一人の存在
法人成りするということは、法人格という自分以外の人格を存在させることです。
個人事業主であれば、社長個人の税金だけを負担すればよかったのに、
もうひとり「法人」という存在の税金(法人税や事業税)も負担することになります。
そうなると、支払うべき税金の数は単純に倍になるので、トータルで税金が減ったとしても、常に税金に追われている状態になり、感覚的には納税額が増えたと錯覚するかもしれません。
3.税理士・社労士・司法書士への報酬
法人成りすると、税金の申告書の厚みが倍以上になり自分では作れません。
また、社会保険の手続も毎年必要ですし、今まで必要なかった登記も必要になります。
そうなると、税理士や社労士、司法書士との取引が増え、当然ながら報酬も増えることになり、節税のための法人成りが、ランニングコストが増えてしまうこともあります。
さいごに
法人成りが節税になるというイメージが強すぎるため、あえてデメリットの部分を強調した記事を書いてみました。
それでも事業を拡大するためには法人成りは有効な手段です。
安易な法人成りではなく、きっちりと精査した上での法人成りをおすすめします。