コロナ禍で仕入や人件費、家賃などの支払いで資金繰りが悪化し、、融資を受ける個人事業主や中小企業が増えています。
融資を受けたときの帳簿の処理は、預金(借方)と借入金(貸方)の勘定科目を増やすだけで簡単です。
帳簿の借入金だけでは残高しかわかりません。しかし、その使い道によって良い借入金と悪い借入金が見えてきます。

良い借入金=キャッシュを生む借入金
借入金に良い悪いは無い。という人もいるかも知れません。
帳簿にも残高は記載されても、使い道まで記載されないので、細く気にする必要もないのかもしれません。
しかし、返済のことを考えると借入金の使い道も考えて、良い借り入れをする必要があると思います。
ここで言う良い借入金とは、キャッシュを生む借入金です。
言い換えると、キャッシュを生むために必要な投資をするための借入金です。
たとえば、開業融資は良い借入金の代表例で、開業融資を受けることで5年10年と営業を続けられてキャッシュを生み続けてくれるからです。
このキャッシュを生んでくれる期間が長いほど良い借入金と言えます。
仕入や人件費、家賃を支払う運転資金としての借入金もキャッシュを生むため、大きい意味では良い借入金の部類に入りますが、運転資金が持つ期間は数ヶ月から1年程度なので、すごく良い借入金とは言えません。
現在のコロナ禍で融資を受ける中小事業者の多くは、当面の運転資金として融資を受けているため、しばらくの間は営業を続けられますが、その期間内に売上をあげてキャッシュを作らないと、倒産や廃業の危険性が増します。
悪い借入金=キャッシュを生まない借入金
過去を精算するための借入金
逆に悪い借入金とは、キャッシュを生まない借入金です。
過年度の税金や仕入、人件費や家賃などで滞納していた分を、精算するための借入金は悪い借入金と言えます。
悪い借入金は、キャッシュを生まないため、借入金を返済できずに、さらに業績が悪化し、さらに借入金を増やす負のスパイラルに陥りやすくなります。
コロナ禍が起こる前から業績が悪化していた事業者は、コロナ禍で簡単に融資を受けられたことで、この悪い借入金をしているケースがあります。
コロナ禍であっても融資を受ける際は、その使い道を考え、過去の精算のためではなく、未来に向かって長くキャッシュを生む借入金をしないと、後から資金繰りが悪化するリスクが有ることを考えましょう。
使い道のない取り敢えずの借入金
キャッシュを生まない悪い借入金に、資金繰りが良いのに無利子で借りやすいから借りる取り敢えずの借入金があります。
この借入金は、通帳に眠っているだけなので、キャッシュを生まず悪い借入金に含まれます。
しかも通帳に眠っている預金の怖いところは、知らずしらずに減っていくことです。
意識せずに社長が個人的な交際に使ったり(横領)、特に必要のないけれど高級車を社用車として購入してしまうことが必ず起こります。
コロナ禍で無利子で借りられるからと、必要ないけれど融資を受けた社長は、1年後2年後に通帳に入った借入金が消えていないように気をつけておいたほうが良いでしょう。
そして、これから融資を受ける社長は、必要以上に借りることがないようにしたほうが無難とアドバイスしておきます。