法人を設立して思うことは、この会社を大きくしよう。ということだと思います。
できるだけ支出を抑えようと中古で設備や備品を揃えて節約しますが、
実際に1年2年と経営してみると税金や社会保険など避けられない支出で、当初の予想よりもお金が増えないという事態になっていませんか?
そこで、会社(法人)にお金が増えない理由と、増やす方法を紹介します。

節約と節税はまったく違う
節約することで税金を減らせると思っている人がいますが、それは間違いです。
節約して支出を抑えると、その分だけ経費が減って利益が増えるため、利益に対して課税される法人税や法人事業税は増える結果となってしまいます。
かと言って、税金を減らすために、事業に関係のない支出を増やすと、税務調査で否認(経費と認められないこと)され、社長の給与とみなされる「認定賞与」となる可能性があります。
認定賞与となると、詳しい話は省略しますが、法人税が増えるだけでなく、消費税や所得税も増えてしまうので大変リスクが高い罰と言えます。
役員報酬をなくすのは節税でも節約でもない
節約意識が高すぎる法人は、社長自身の給料である役員報酬をなくしたり、実際の生活費より低く設定してしまう人がいますが、これも節税にはなりません。
たしかに役員報酬を低くしたり無くせば、利益は増えますが同時に税金も増えます。
しかも、役員報酬以上の金額を会社の預金から使っていると、その差額は社長への貸付金や給与とみなされ、帳簿が汚れ融資の障害となったり、税務調査で否認リスクが高まります。
役員報酬の金額設定で大事なのは、会社の利益と毎月の生活費のバランスを考え、やや多めに設定し、会社にお金が不足したら、自分の通帳から会社に戻す(貸す)というのが節税と節約になります。
会社にお金をたくさん残す方法
会社にお金をたくさん残すには、節約と節税の両立ができて初めて達成できます。
単純に支出を抑える節約だけでは節税になりません。また、節税したいと思って無駄な支出をしても経費として認められなければ意味がありません。
大事なのは節税になる支出を増やし、その上で無駄な支出をしないで節約することです。
具体的には、人件費をうまく使うことです。
自分の役員報酬が低すぎる場合は、適正額に見直す必要があります。
やや高めに設定し、その上で会社にお金を戻したほうが効果的です。
役員報酬を低く設定し、生活費が足りないから会社から借りる。という逆の行為は、節税にも節約にもなりません。
また、親族以外の従業員の給与を増やすのも効果的です。
現時点の法人税の計算では、親族以外の人件費を増やすと、増えた分の一定割合を税金から控除していよいという税額控除の特例「所得拡大税制」があります。
この特例を活用できれば、同じ500万円の使い方でも、無駄な設備や新車を買うよりも節税効果は格段に高くなります。
そして、人件費以外の支出はできるだけ節約するのが効果的です。
設備投資は必要なものを厳選し、中古で買えるものは中古で揃えることで、耐用年数が短縮でき節税になります。
そして最後のアドバイスは、自分の会社だからといって、社長が会社のお金を自由に使うことは、会社にお金が残らない最大の要因と言えますので、注意しましょう。資金繰りで苦労する中小企業の多くが社長の使い込みが原因です。
なぜなら、税金は利益に対して課税されるので、利益があるということはその分のお金が会社にあるということです。ないならそれは誰かが私的に使っているということになりますから。