コロナウイルスによる業績悪化で倒産した企業が170社(5/23時点)を超えるというニュースを見ました。
さらにこれに、小さな飲食店や美容室など中小企業を含めると、信じられない廃業数になると思います。
このような状況で、国税庁から税金面でも特例となる措置が発表されました。
その中で、直近で重要なのが納税猶予ですが、今回はコロナの影響が遅れて現れる企業に対して有効な「欠損金の繰戻し還付」について紹介します。
この他の特例措置にについては「国税庁ホームページ」チェックしてみてください。

欠損金の繰戻し還付とは
欠損金とは、いわいる「赤字」のことで、売上から経費を引いた最終の利益がマイナスになることです。
このマイナスの数字を、1年前に納付した税金と相殺して税金を戻してもらう特例が「欠損金の繰戻し還付」です。
この制度は、中小企業や事業をやめるとき(解散や精算)に限定して利用できる特例でしたが、コロナウイルスによる業績悪化があまりに大きいため、中小企業に限らず資本金10億円以下の企業でも利用できるようになりました。
さらに、解散や精算をしていない通常の事業年度でも利用できるようになります。
ただし、「令和2年2月1日から令和4年1月31日までに終了する事業年度」という条件があるので注意してください。
2月決算、3月決算法人は特に有効
欠損金の繰戻し還付が特に有効なのが、2月決算または3月決算法人です。
旅行業や宿泊業、イベント業など一部の業種は2月からコロナの影響で売上が下がりましたが、美容室や飲食店やデパートなどその他の業種に関しては、自粛要請が始まった4月から売上が激減しているはずです。
そうなると、2月決算または3月決算法人は、コロナの影響は今期の業績に反映されず、はっきりと業績に現れるのは次の事業年度となります。
今期が多額の納税になるものの、4月5月の業績不振が現れて翌期で欠損となる法人は「欠損金の繰戻し還付」が有効となるはずです。
法人の経営者は顧問税理士や税理士会に相談してみてください。
さいごに
今年の1月時点では、このような経済状態になるとは思ってもいませんでした。
リーマンショック時には、どこか他人事のように思っていましたが、今回のコロナは当事者として経験することになり驚きです。
自粛要請が解除されたからと言ってすぐに元通りになるとは思っていませんが、できるだけ早く日常に戻ることを祈っています。