2020年5月からコロナによって大きなダメージを受けた事業者に対して、事業継続のために「持続化給付金」の申請が始まりました。
今回の補助金は、売上の半減という条件を満たせば申請でき、しかも使途が限定されていないのが特徴です。
税理士の僕のところにも問い合わせが来ていますが、よくある質問に「売上台帳」がわからない。というものが多くあります。
そこで、売上台帳をはじめ持続化給付金の申請時のポイントを紹介します。

記載事項と添付書類から給付金の条件を理解する
給付金の申請で重要なところは、①「今年と前年の単月の売上高」②「前年の売上高合計」そして添付書類の③「確定申告書一枚目」④「事業概況説明書または個人事業主の決算書」となっています。
①「今年と前年の単月の売上高」は、事業収入が前年と比べて50%以上減額しているかの確認です。
その証拠書類として法人なら「事業概況説明書」、個人事業主なら「決算書」が必要となります。これらの書類には、各月の売上高が記載されていて、しかも税務署に提出した確定した数字として証拠能力があるからです。
この数字がずれていたり、設立または開業したばかりで決算を迎えていない事業主を除外していると思われます。
今回は、緊急事態のため、条件が優しいですが、最低限の不正受給の防止策はあります故。
②「前年の売上高合計」は給付金を計算するために使います。給付金には上限として法人200万円、個人事業主100万円とありますが、多くの事業主は上限額がそのまま支給されると思います。
③「確定申告書の一枚目」は、年間売上高の確認と、税務申告をしていることを前提とし、無申告の事業主による不正受給を防止していると思われます。
なお、電子申告している場合は、収受印がないので代わりとなる「受信通知」も添付する必要があります。これも不正受給防止のためでしょう。
このように記載事項と添付書類にどのような意味があるのかを考えれば、記載しやすくなったり、マニュアルが読みやすくなるので諦めずにチャレンジしてみてください。
「売上台帳等」とは何?
今年の売上の証拠書類として、「売上台帳等」の添付が必要となっています。
これは、今年の決算をまだ迎えていないため、確定した数字が出せないため、ひとまず日々記録したものでも良いですよ。という特例措置です。
しかし、申告月まで何も帳簿を付けていない事業主にとっては、何を申請したらわかりません。
そのことは国もわかっているので次のように提案しています。
・経理ソフトから抽出した売上データ
→弥生会計やfreeeなどを使っている方は、「総勘定元帳」の「売上高」を選択し出力すれば、それを売上台帳として申請できます。
・エクセルで作成した売上データ
→エクセルなどの表計算ソフトで売上を集計している方は、対象月を出力して申請できます。単月の売上合計が集計されていないと審査に時間がかかるかもしれないので、単月合計を表示して出力しておいたほうがいいです。
・手書きの売上帳のコピーなど
→パソコンを使えない事業者のために、手書きの売上帳でも申請できます。
申請には、スマホでの撮影ができればよいですが、デジタル機器がない方は、コンビニでコピーして郵送で申請しましょう。
・理美容ならポスレジの売上データを利用
→理容室や美容室を経営している多くの方は、最近だと顧客管理や売上管理でPOSレジを導入しています。そのような方は、対象月の売上一覧を出力すれば、そのまま申請書類として利用できます。
代理送信できればいいのに
持続化給付金のポイントを紹介しました。
不正受給防止の観点から、二段階認証となっていて税理士による代理送信ができず本人申請が基本です。
しかも、申告書の一表や事業概況説明書など、税金や経理に不慣れな事業主にはハードルが高い作業となっています。
税理士の僕のもとにも何件も問い合わせがあり、電話やメール指示していますが、全員対応していたらとても時間が足りないという印象です。
緊急事態とは言え大変な時代になったものです。