コロナウイルスによる緊急事態宣言で経済活動が完全に止まっています。
特に外出の自粛要請で飲食店や美容室は資金繰りに大きな影響が出ています。
政府は特別貸付や給付金を打ち出していますが、借入の返済の目処が立たない経営者や、元から運転資金が少ない経営者は、やむを得ず廃業を選択するケースもあるはずです。
そこで、飲食店や美容室経営者に多い個人事業主の廃業の税金の手続きを紹介します。

必ず提出するもの│廃業届出書
まず廃業する場合に必ず提出するものは、「廃業届書」です。
確定申告書を提出している税務署に書面または電子で提出します。
書面で提出する場合は、国税庁のHPから書式をダウロードできます。
書き方は簡単で、事業主の基本情報を記載し、チェックボックスで「廃業」を選択し、「廃業日」を記載するだけです。
廃業届書は、税務署だけでなく、都道府県と市町村にも提出します。
書式は、各自治体で異なるので、各自治体のHPからダウロードします。
ただし、同じ書面をコピーして使いまわしても、経験上問題になりませんでした。
保健所に提出するなど、税務署や自治体の収受印がある廃業届出書が必要な場合は、同じものを2枚作成し、1枚を提出用、もう1枚を自分用として提出します。
必要に応じて提出するもの
廃業届書の他に提出するものは、事業主の状況に応じて変化します。
青色申告をしている場合は、「青色申告の取りやめ届出書」が必要です。
消費税の課税事業者の場合は、「消費税の事業廃止届出書」が必要です。
この2つの届出書は、上に記載した廃業届出書に提出の有無を確認するチェックボックスがあり、ここで「有」を選択しても提出したことにならないので、廃業届出書とは別に提出する必要があります。
追記:最後の確定申告が必要
4月や5月など年の途中で廃業した場合でも、1月から廃業まで利益が出ていれば確定申告が必要です。
年の途中までの期間で税金を計算する場合は、減価償却の月割など経費を1年間ではなく期間按分するので注意が必要です。
また、確定申告書を提出した後に計算される個人事業税は、経費にするチャンスを失うため、最後の確定申告書に税額を予測して計上することができます。
あとがき:廃業が増加するんだろうな
コロナウイルスで経済がストップし、廃業が増えることが予想されることから、
個人事業主の廃業の手続きを紹介しました。
僕が紹介するのは税金の分野なので、飲食店や美容室ならこの他に保健所にも手続きが必要です。
また、社会保険に加入している事業主は、社会保険の変更の手続きも必要になる可能性があります。
個人的には個人事業主を応援したいですが、コロナがいつ収束するかわからない状況では、廃業を選択するのも仕方ありません。
なぜなら、営業できないのに家賃や人件費、借入金を返済し続けることは、経営者にとって全くメリットがないからです。
早くコロナウイルスが収束することを心から祈るばかりです。