僕は税理士ですが、お金に色が見えると言ったら信じてもらえるでしょうか?
と言っても、実際に青赤緑などの色が見えるわけではありません。同じお金でも見方によって特性や意味が変わることを色で表現しています。
美容室や飲食店は毎年何店舗も開業していますが、それと同じくらい、またはそれ以上に廃業する人もいます。
廃業の原因は、資金繰りの行き詰まりがほとんどですが、もっと言えば、税金や会計の勉強をしないまま開業することで、お金の色について知らないことが原因だと思っています。
今回は、これから起業を目指す人のために、お金の色について紹介します。
お金は色によって意味・特性が変化する
税金や会計の知識が全くない人にとってお金というと、「出る」「入る」くらいのイメージかも知れませんが、税金や会計の世界では、それだけはありません。
「収入」「経費」「資産」「負債」「資本」「課税」「非課税」などいくつもの要素があり、お金を色分けして帳簿を作成し、そこから税金を計算します。
これらの知識がないと、資金繰りの悪化が生じる原因となります。
例えば、借入金の返済は、負債を減らす取引のため、経費とは違います。お金を支払うということ自体は同じですが、色分けが違うので、お金のもつ特性も変化します。
この違いがわからないと、負債比率が高く、毎月の返済が多い経営者は、支払いが多くても経費ではないので税金は減っていないことに対して、理由が理解できず資金繰りが悪化することになります。
このようにお金の色分けとその特性を知らないと、税金の計算もできませんし、事業の実態も見えてきません。これが簿記や会計の勉強が必要な理由です。
AIで自動でお金の色分けをする時代
簿記や会計の知識がないと、起業してから苦労することは間違いありません。
ですが、数年後は、このお金の色分けをAIが自動で処理してくれる時代が来るはずです。
取り引きと帳簿をAIと同期することで、取引ごとにAIが、日本中の過去の同じ業種の仕訳データからお金の色分けをして帳簿を作成してくれるはずです。
税理士としては商売上がったりですが、時代の流れなので仕方ありません。
ですが、最後にAIの処理結果を読み取るのは、経営者であり人間です。
経営者がAIの結果を読み取る能力がなければ、結局資金繰りは良くなりませんし、無能な経営者はやはり廃業への道を進むと思います。
しかも、感情がないAIの作る帳簿は、ミスが無い代わりに優しさもありません。
ちょっとした家族との食事代や遊興費も経費にしないので、これまでよりも厳しい帳簿になるかもしれません。
起業前に最低限の税金と会計の勉強は必要
お金には色があり、その色ごとに特性が違うということを紹介しました。
この色分けの方法と特性を理解するには、税理士と顧問契約するのが一番ですが、自分で勉強することもできます。
これから店舗の開業や事業を起業したい人は、その前に税金や会計の勉強をしておくことをオススメします。
申告書を作れるほどの知識は必要ないと思いますが、最低限自分の事業の状況と資金繰りを把握できる程度は知識があると大きな助けになるはずです。
その知識があるだけで、事業の成功率がグッと上がるはずですから。
