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法人成りで節税したつもりが社会保険料で失敗する場合

投稿日 : 2019年7月1日 / 更新日 : 2020年10月17日

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美容室や飲食店、整体院の経営者は、創業は個人事業主として開業し、軌道に乗ってくると法人に組織を変更(以下「法人成り」)するケースがあります。
経営者にしてみれば、税金の負担を軽くして資金繰りを良くするというプランがあったはずです。
しかし、いざ法人になると意外と資金繰りが良くならないと思うことがあります。それは毎月の社会保険料が原因かもしれません。

法人成りのメリット

法人成りのメリットは、ネット検索するとたくさん出てきます。よくあるのは、節税の幅が広がるなどのキーワードです。
いくつか具体例を挙げると以下のとおりです。

  • 代表者自身に給与が出せる
  • 超過累進税率が定率になり税率が低くなる
  • 法人の節税保険が使える
  • 消費税の免税事業者がもう一回使える

このようなメリットは、たしかに効果的ですが、あくまでも税金面の話です。
この手の情報を掲載してるのも税理士や会計事務所、司法書士のサイトが中心ですし、推して知るべしです。
しかし、法人成りで変わるものは税金だけでなく、社会保険も大きく変わることに注意しなければなりません。

法人は社会保険に強制加入

個人事業主の社会保険は個人負担で、一定の人数まで事業主が加入する義務はありません。
しかし、法人になると代表一人でも社会保険に加入する義務があり、健康保険料と厚生年金保険料は、会社が社会保険料の半分を負担する必要があります。(労使折半)
しかも、社会保険料は、会社が天引き分と合わせて支払うため、毎月の負担は実質的な負担よりも大きく感じるはずです。
これが相当の負担となり資金繰りを悪化させている中小企業は多く、最悪の場合資金繰りの悪化から黒字倒産というケースもあります。

年々増加する社会保険料

法人税の税率が一定ですが、社会保険の料率は、計算の基礎となる標準報酬月額(毎月の給与額)が増加すれば上がるようになっています。
この点で言えば、所得税の超過累進税率と同じです。
しかも、料率は年々増加していて、これから超高齢社会が進めば、さらに料率が増えることは目に見えて明らかです。
従業員の増員や給与が増加するなかで、料率まで上がれば、資金繰りが悪化するのは当然と言えます。

健康保険の保険料率の推移

協会けんぽホームページ

厚生年金の保険料率の推移※PDF

日本年金機構ホームページ

まとめ│安易な法人成りは危険

法人成りで社会保険料の負担が重くなる可能性を紹介しました。
法人成りは、税金の節税効果よりも社会保険料の負担の方が大きくなるという記事もあり、法人成りが失敗だと感じて個人事業主に戻りたいという話もあります。

また、これまで社会保険に加入義務のなかったパートやアルバイトも加入対象に加えるというニュースもあります。
これらのことを考えると、中小企業の社会保険の負担は更に増え、資金繰りが悪化して倒産するケースも増えることが予想されます。

資金繰りの改善や節税目的での法人成りは、社会保険の負担で思わぬ失敗をする可能性があります。ご注意ください。
個人的には、店舗と従業員を増やすなど拡大計画がない法人成りは危険だと思っています。

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