顧問先に『資料せん』のお知らせが来ました。
資料せんとは、売上や仕入、経費を誰と、どのくらい取引しているかを集計して提出するものです。
税務署では、税務調査の判断資料の一つとして、資料せんを使っています。
つまり、資料せんとは、税務署の情報収集のための協力となります。しかも、義務ではなく任意。
そこで、資料せんについて簡単にまとめてみました。
※この記事は、2018年9月時点の情報に基づいています。その後の改正に対応していないため、最新情報をご確認ください。
資料せんとは
資料せんとは、売上や仕入、経費の取引相手ごとに、取引日と取引内容、取引金額を一般資料せんという用紙(上部画像)にまとめます。
集計の範囲は、一回に5万円または10万円以上の取引をした場合、または半年間の合計で5万円から30万円の取引をした場合です。金額の範囲は勘定科目によって異なります。
不動産業など取引が固定化されている業種は、簡単に集計できますが、建設業など取引相手が多い業種は、集計が大変です。
郵送される封筒には一般資料せんが一束同封されていますが、業種によっては足りませんし、全部手書きで作成するのは大変です。
そこで、エクセルデータで提出することもできますが、e-Taxに対応していないため、CD-Rに保存して提出しなければなりません。(デジタル的なアナログです)
義務ではなく、しかも税務調査のための情報提供なので、税理士としてもモヤモヤするところもありますが、やはり適正申告の一環のため協力します。
自計化している場合の資料せん
税理士と顧問契約せず、自分で帳簿をつけている事業主は、資料せんも自分で作成することになります。
普段から小まめに会計データを作成していれば、仕訳データから取引相手と取引金額の条件指定で検索をかけることで、簡単に資料せんを集計できます。
しかし決算直前に帳簿作成している事業主は、会計ソフトに頼らず、請求書と領収証から集計範囲に当てはまる取引を探していくことになります。
脱税は資料せんでバレる
無申告や過少申告している事業主が税務署から指摘を受けるのは、資料せんの情報が元になっている可能性があります。
経費として提出された一般資料せんは、記載された取引相手の売上に計上されていなければならないため、申告書とズレていたり、無申告だと税務署から疑われることになります。
現金商売のスナックや個人事業の飲食店、一人親方の建設業など、どんぶり勘定の事業主で、申告内容と資料のせんの情報がズレていると、そこから税務調査に発展する可能性があります。
税務署はさまざまな所から情報収集しているので、自分だけは税務調査は来ない。という正常性バイアスは捨てたほうが身のためです。
まとめ今後資料せんはなくなる!?
今後資料せんは、どうなるのでしょうか。
マイナンバーや法人番号が一般化し、領収証や請求書がインボイスになることで、取引ごとのヒモ付は、今よりも厳しくなっていくことが予想されます。
さらに、キャッシュレスの電子マネーが普及すれば、少額の取引でも、取引データがクラウド上に保管され、資料せんに頼らずに、国税側が取引内容を管理できる時代が来るかもしれません。
個人的には、脱税は罰せられて当然だと思いますが、あまりに堅苦しすぎると、反感を生みますし、管理運営する国税庁自身も自縄自縛となり不正につながる可能性もあります。
なんだか、社会全体が生きづらくなっていく気がしてなりません。
