オックスフォード大学のAI研究の先生が発表した「AIの影響で10年後に消える職業」が一時期話題になりました。
具体的には、テレアポや審判そして税理士(!?)などの職業が、AIに仕事を奪われると言われています。
しかし、その反対に「10年後も残る職業」というものもあり、医師や教師などがいるのですが、そのなかに「美容師」も含まれています。
しかし本当に美容師という職業が安心安泰なのか疑問に思い、AIの関連本を数冊読んでみました。
そして自分なりに「10年後のAIと美容師」について考えてみました。
10年後も美容師が生き残る理由
AI関連本を読んでみるとわかりますが、AIは万能ではなく、AIには「得意なこと」「苦手なこと」があるとわかります。
「得意なこと」は、ビッグデータ(過去の膨大なデータ)を瞬時に分析して、確率的により効率的な方法や正解に近いものを導き出すことです。
将棋の世界で、Ponanza(AI将棋ソフト)がプロ棋士に勝てた理由も、ディープラーニングによって過去の膨大な棋譜データを分析して、勝率の高い手を導き出した結果と言われています。この膨大な棋譜データは、人間の記憶力では全く歯が立たないレベルの量です。
逆に「苦手なこと」は、物や言葉などの対象物から意味や思いを読み取ることです。つまり「考える」という行為ができないようです。(現時点の話ですが…)
AIを使って東大合格を目指す「東ロボくん」というプロジェクトがあったのですが、読解力を必要とする国語や英語で得点を伸ばせずに、合格できませんでした。
なお、数学や社会など計算力や知識量がものを言う科目は得意だったようです。
ここまで説明するとわかってくると思いますが、美容師という職業の性質を考えると、人のヘアスタイルに正解はなく、お客によって千差万別の髪の特徴を読み取り、コミュニケーションを取りながらお客の好みを把握して、美容師の技術力でサービスする。というものです。しかも最新のトレンドを押さえながら。
このように美容師の職業は「読解力」「コミュニケーション能力」「技術力」が重要ですが、これらの能力はAIとっては苦手なことになります。(不可能とも言えます。)
そのため、AIが進化すると予測される10年後においても、美容師という職業が消えないと言われる理由です。
10年後も美容師が安心できない理由
しかし、10年後も美容師という職業が安泰だ。とは言えないと思います。なぜなら経済全体で考えると、現在の多くの仕事がAIに奪われると予測されるからです。
AIに仕事を奪われた結果、多くの人が今の仕事を失うことになり収入が減ります。収入が減ると、当然ですが支出を控えるため消費が減り、不景気になることが予測されます。
専門家の中には、AIに仕事が奪われても、代わりとなる新しい仕事が生まれるから、労働者の移動が起きるだけで景気は変わらない。という人や、
誰でも一定の補助を受けられるベーシックインカムを導入するから問題ない。という人もいますが、そんなに上手くいくとは思えません。
不景気になれば美容室に行く回数やペースを減らす。ということは当然考えられます。
そうなると、美容室の売上は減るため、経営が圧迫されることが予測されます。
つまり、美容師という職業自体は消えないけれど、売上が減り経営できずに廃業する美容室が増えるとも考えられるのです。
医師や教師など生きていくために必要不可欠な職業は、需要が大きく減るとは考えにくいですが、景気に左右されやすいサービス業(美容室や飲食店)は、AI不況(大恐慌?)になると大きな打撃を食うと考えられます。
まとめ:AIの影響を受けない職業はない
AIが進化する10年後の美容師について考えてみました。
結論としては、美容師という仕事内容は、AIの苦手分野のため、仕事自体を奪われることはないけれど、その他の仕事が奪われAI不況が起こると、需要が大きく減る可能性がある。というものです。
未来のことなので、誰にもわかりませんが、予想すると怖い世の中になりそうです。税理士なんて消えると言われてるし….
