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面貸し美容師が青色申告で確定申告書を作成するための手順

投稿日 : 2018年1月5日 / 更新日 : 2018年6月25日

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美容師のなかには、給与ではなく報酬として収入をもらっている人がいます。

そんな美容師を『面貸し美容師』や『ミラーレンタル』と呼ぶことがあります。

報酬と給与の違いとして、自分で所得を計算して確定申告しなければならない点があります。

そのため、自分で申告書を作成している人も多いですが、その多くが白色申告です。

なかには、節税効果のある青色申告に挑戦したいけれど、難しそうで諦めている人も多いのではないでしょうか。

そこで、面貸し美容師さんのために、青色申告の手順についてまとめてみました。

※この記事は2018年1月時点の法令に基づいています。実際には税理士や税務署に確認してみましょう。

給与と報酬の違い

まず、所得税では給料(給与所得)と報酬(事業所得または雑所得)は別物で、所得の計算方法が違います。

所得の計算方法は『収入-経費』で、それは給与でも報酬でも同じですが、その計算方法が違います。

給与では経費部分が実費ではなく一定の計算式に当てはめて計算します。

しかし報酬では、経費が実費のため一年分の領収証などの資料を集計しなければなりません。

この他にも違いについては、過去の記事『面貸し美容師の報酬と従業員の給与の税金の違いについて』を読んでみてください。

申告についても、給与であれば年末調整で一旦所得税を精算し、さらに医療費控除などを追加で受けたいときに確定申告をすることになります。

しかし報酬では、毎年3月15日までに自分の税額を自分で計算して、申告と納付をしなければなりません。(義務)

青色申告には承認が必要

青色で確定申告書を作成するには、管轄の税務署に青色申告承認申請書を提出しなければなりません。

これは特に難しいものではないので、税務署で書き方を教われば誰でも書けます。

面貸し美容師になると、開業届も提出することになるため、一緒に青色申告の申請書も提出しておきましょう。

なお、青色申告承認申請書は提出期限があるため、期限を過ぎると提出した年は白色となり、翌年から青色になるケースもあるため注意しましょう。

[参考ページ]

青色申告の承認を受けようとする場合の手続き

引用│国税庁ホームページ

確定申告の手順と方法

さて、ここから面貸し美容師の確定申告の手順について紹介していきます。

必要書類や必要機材

まず必要書類としては、人によって違いはありますが、一般的には次の資料が必要となります。

・収入明細・・・給与明細に代わるもの
・領収証・請求書・・・ハサミ代、交通費、材料代、場所代など
・事業用の通帳の写し・・・通信費など引き落とされる経費
・健康保険料の領収証・・・引き落としの場合は通帳の写し
・控除証明書・・・国民年金、生命保険、地震保険
・寄付金の証明書・・・ふるさと納税など
・親族の生年月日と収入・・・年齢や収入金額によっては扶養控除
・住宅ローン控除・・・借入金の年末残高証明書、住宅ローン控除申告書※
※控除1年目の場合は、登記簿など別途書類も必要

さらに必要機材として、パソコンと確定申告用の会計ソフトとも必要となります。

個人事業主の場合は、パソコンショップに低価格の商品がたくさんあります。

会計ソフトに大きな違いはありませんが、改正で計算方法が毎年変わるため、アップデートは毎年必要です。

なお、白色申告で仕訳入力の必要がない人は、国税庁HPにオンライン版の無料作成ソフトが毎年1月に公開されます。
それを使って決算書と申告書を作成することもできます。

所得を計算する

青色で確定申告書を作成するには、まず収入と経費を会計ソフトに入力して、決算書を作成する必要があります。

このとき、青色と白色の違いとして、複式簿記(正規の簿記の原則)で仕訳を入力し、決算書に貸借対照表を添付する義務があります。

この会計ソフトに仕訳を入力していく作業が、一番面倒かつ地味で地道な作業となります。

最近の会計ソフトは、ネットバンキングやクレジットカード明細の自動取り込みや、スキャナーによる領収証の読み込み機能もあるので、それらの機能を上手く活用すれば時間が短縮できます。

しかし個人的には、デジタル人間よりもアナログ人間の方が多いと思うので、一つひとつ仕訳を入力していく人のほうが多いような気がします。

会計ソフトに『カンタン入力』という機能がついていれば、借方貸方や勘定科目に迷うことはないはずです。

 

なお、事業に固定資産を使用している場合は、さらに減価償却の明細書も作成する必要がありますが、面貸し美容師さんは該当する可能性が低いため、この記事では割愛します。

青色申告特別控除

一年分の収入と経費の入力が完了すると、差額として所得が計算できます。

さらに青色申告のメリットとして、所得金額からさらに最高65万円の青色申告特別控除を控除できます。

青色申告のメリットは、欠損金の繰越控除など色々ありますが、最も分かりやすいものがこの特別控除です。

なお、平成30年度の税制改正大綱で青色申告特別控除が55万円に引き下げられますが、電子申告(e-Tax)の利用など一定の条件を満たすと65万円にすることができます。

[参考ページ]

青色申告制度

国税庁ホームページ│№2070

所得控除

決算書を作成した後は、申告書の作成へと移っていきます。ここからは白色申告も同じ作業となります。

申告書の作成では、所得金額から10種類以上ある所得控除から該当するものを選択していきます。

計算は会計ソフトに該当する金額を入力するだけなので簡単ですが、どれに該当するかは忘れずに確認しましょう。

・雑損控除・・・災害や盗難にあったとき
・社会保険料控除・・・健康保険料や国民年金を支払っているとき
・医療費控除・・・医療費を一定額以上支払ったとき(セルフメディケーションを含む)
・小規模企業共済掛金控除・・・掛け金を支払っているとき(控除証明書が届く)
・生命保険料控除・・・生命保険料を支払っているとき(控除証明書が届く)
・地震保険料控除・・・地震保険料を支払っているとき(控除証明書が届く)
・寄付金控除・・・寄付金を支払っているとき(ふるさと納税を含む)
・扶養控除・配偶者控除・・・扶養親族の収入が一定額以下のとき
・基礎控除・・・2020年分以降は48万円に引き上げ(平成30年税制改正大綱より)

自分がどれに該当するかを確認し、該当するものは会計ソフトに金額や数字を入力していきます。

[参考ページ]

所得金額から差し引かれる金額(所得控除)

引用│国税庁ホームページ

納付税額の計算

所得金額から所得控除を引いた残額に税率を掛けると税額が計算できます。

基本的には、この税額が納付税額となりますが、住宅ローン控除や予定納税があると、それも控除します。

住宅ローン控除は、上記とは別に明細書を作成する必要があります。
計算は会計ソフトに、借入金の年末残高と居住開始日などを入力することで自動で計算してくれるため、難しくありません。

予定納税は、前年の税額が15万円以上のときに、翌年に一部を前納する制度で、はじめて確定申告する人は原則ありません。

申告と納付

納税額が計算できたら、最後に申告書の提出と納付をして今年の作業が終了します。

申告書の提出は、紙による提出と電子申告がありますが、毎年申告する人は、マイナンバーカードとカードリーダーを取得して電子申告すると便利です。

また、納付についても、税務署でもらえる納付書に手書きで税額を書いて支払う方法もありますが、これも毎年のことであれば、振替納税の手続きをしておけば、4月終わり頃に自動で引き落とされるので簡単です。

はじめての申告は開業届も必要

面貸し美容師となってはじめて確定申告する人は、税務署にあらかじめ『開業届』を提出しておきましょう。

提出しておくと、記帳説明会に参加できたり、確定申告時期になると申告書や作成方法の手引きが郵送されてきます。

また、上記で説明しましたが、青色申告特別控除を受けたい人は、開業届と一緒に『青色申告承認申請書』も合わせて提出しておきましょう。

[関連記事]

郵送で開業届を税務署へ提出する方法

まとめ

面貸し美容師のために、初心者でも分かる確定申告の作成手順を紹介しました。

今回紹介したのは一般的な流れのため、すべての人に当てはまるわけではありません。

店舗によって収入や経費の計算方法が違ったり、人によって負担している経費が違うからです。また人によっては配当や不動産の賃料収入もあるかもしれません。

そのため、計算方法や申告方法に迷ったら税理士や税務署に相談しましょう。

当会計事務所では、面貸し美容師の確定申告を通常の顧問料よりも割安で対応しています。

はじめて申告される方や税金で悩んでいる人は、メール(上部)からご連絡ください。
※遠方の方や、期限(3月15日)直前の場合は、対応できないこともあるため、早めにご連絡ください。

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