先日、数年前に卒業した大学に講師として行ってきました。
講師は会計士や税理士になった卒業生数名で、座談会形式で将来の進路をテーマにお話してきました。
前半は、税理士や会計士を目指したきっかけや勉強方法、現在の業務内容をお話しました。
後半は質疑応答ですが、そこで「会計士と税理士のどちらを選んだほうが良いですか?」という質問がありました。
そこで、今回は大学生のために、会計士と税理士の特徴や違いを自分なりにまとめてみました。
将来の進路に迷ったら参考にしてみてください。ただし税理士としての私見が入るのはご了承ください。
進路選択のタイミング
会計士と税理士ですが、どちらの資格も簿記の知識は必須です。
そのため、簿記検定2級に合格してから次のステップを考えると良いと思います。
このタイミングが、会計士と税理士の最初の分かれ道だと思います。
早い人だと大学1年生で簿記2級に合格するため、2年生からすぐに専門分野へステップアップできます。
次に、会計士と税理士の特徴や違いをざっくりと説明します。
会計士のざっくり特徴
会計士は、企業の監査が中心的な業務となります。
すべての企業に監査義務があるわけではなく、大企業に限られるため、必然的に携わる仕事も大きくなります。
会計士の資格を取ると監査法人に就職し、さまざまな経験を積みながら、監査法人内でキャリアアップします。
他にも上場企業など比較的大きな企業の経理部門に就職する人もいます。
また、一旦就職しても、一般企業や監査法人に転職したり、税理士登録して独立する人もたくさんいます。
何をするにしても有利な資格ですし、監査法人は比較的大きいため、福利厚生が充実しています。
その点からも男性だけでなく働く女性が目指す資格としても、とても魅力的なのが特徴です。
また、大企業を相手に大きい仕事をしたい人は、会計士に向いているのかもしれません。
税理士のざっくり特徴
税理士は、個人事業主や中小企業の経理と税務申告が中心的な業務です。
事業をしている人は誰でも申告義務があるため、大企業に限らず全ての事業主が顧客になり得るのが特徴です。
また、企業だけでなく相続税など個人を相手に仕事をすることもあります。
ほとんどの会計事務所では、税理士ではなくても、税理士試験の科目合格していれば就職は可能です。
入社した会計事務所で、クライアント数社を担当しながら経験を積んでいきます。
税理士登録をした後のキャリアとしては、会計事務所の中で高い地位を目指す人もいます。
独立して自分の会計事務所を開業する人もいれば、一般企業や他の税理士事務所に転職する人もいます。
会計士との違いは独立する人が多い点です。
それは個人事業や中小企業が主な顧客のため、大企業に比べ報酬単価は負けますが需要が多いことが理由です。
そのため、営業やコミュニケーションが得意な人には、独立が向いているかもしれません。
また、有資格者だとパートでも時給が高いため、正社員ではなく子育てしながら働く女性税理士もいます。
会計士と税理士の違い
上記の顧客層や業務内容の他に、会計士と税理士の違いを各論点ごとに紹介します。
受験勉強
受験勉強の特徴は、会計士は広く浅く(実際は浅くないけど)、税理士は深く狭く(実際は狭くないけど)というイメージです。
大学受験のように複数の科目を効率的に勉強できる人は、会計士に向いているかもしれません。
一方、計算や暗記が得意な人は、税理士に向いているかもしれません。
合格までの期間
会計士は合格まで最短で2年から3年と言われているため、大学在学中に合格できる可能性があります。
大学卒業後に専門学校に通いながら勉強する人もいますが、ほとんど30歳未満と比較的若いのが特徴です。
一方税理士は合格まで最短でも5年(1科目1年)と言われているため、会計士よりも長期化しがちです。
ただし、科目合格制と言って1科目合格すると一生有効という特徴があります。
そのため、就職して働きながら勉強する人も多く、40代50代でも受験する人がたくさんいます。
資格取得後のキャリア
会計士と税理士の資格取得後のキャリアの違いとしては、やはり就職するか独立するかの違いがあります。
会計士は監査法人、一般企業、コンサル等どんな道でも、企業に所属するのが前提です。
ただし、会計士の特徴として税理士登録できる権利があるため、税理士登録して独立する人もいます。
税理士は、会計士の試験に合格しないと会計士登録することはできません。
収入
税理士と会計士の収入の違いは、勤務先によってピンきりなので一概には言えません。
ただし、会計士にしろ税理士にしろ、大手事務所で勤務するとハイクラスの収入になります。
ただし、独立して成功すると収入の天井がないため、サラリーマンでは手の届かない収入になる可能性もあります。
女性と男性
大手であれば会計士でも税理士でも福利厚生が充実しているため、働く女性にはどちらも魅力的です。
ただし税理士の資格だと、小さい会計事務所のパートとして比較的自由に働く道もあります。
出世欲がなく、子育てしながら自由に働きたいという女性は、税理士が向いているかもしれません。
男性という目線で考えると、大企業を相手に大きな仕事をしたい人には会計士のほうが魅力的かもしれません。
一方、自分の力で働きたいという「鶏口牛後」の精神がある人は、税理士のほうが向いているかもしれません。
まとめ:どちらも茨の道に変わりなし
会計士と税理士のどちらの道に進むかで迷っている大学生のために、両者の特徴や違いをまとめました。
どちらの資格を目指すとしても、難関資格で試験勉強が大変なのに変わりはありません。
どちらの資格を選ぶかは、簡単に合格できる方ではなく、将来なりたい自分をイメージして選ぶと良いかもしれません。
ひとまず簿記に合格できるかで、向き不向きを判断してみましょう。