一般社会でも、勝ち組と呼ばれる富裕層と、ワーキングプアと呼ばれる人たちで二極化していますが、『税理士』の世界でも同じように二極化は起きています。
1億円以上稼ぐ税理士もいれば、開業しても顧問先ゼロの税理士もいて、今後この傾向は、より強くなるのではないかと思っています。
そこで、今後拡大するかもしれない会計事務所の格差時代における『勝ち組税理士』と『下請け税理士』について個人的にまとめてみました。
勝ち組税理士
典型的な例が、顧問先がどんどん増える会計事務所の代表税理士です。顧客が増えることで顧問先からの紹介案件が増え、さらに増える利益で広告もバンバン流せます。まさに勝ち組スパイラルに入っている状態です。
開業したての税理士は、チラシ印刷にしても、ネットのリスティング広告にしても、開業資金が多くないためマスメディアによる広告は効果が期待できず、身近な人脈からの営業が中心となります。
また、勝ち組税理士の多くが、セミナー講師やビジネス本の出版で自己ブランディングして知名度を上げます。その結果、自分を広告塔にして集客しています。開業したての税理士でも、100%自己負担の出版(いわゆる『自費出版』)で広告しているケースもありますが、効果の程はわかりません。
下請け税理士
開業しても顧問先ゼロの税理士は収入がないため、当面の営業費・生活費として、他の税理士の業務を下請けしながら収入を得ます。
開業したのにかかわらず学生のようにバイトをすることに信じられないと思うかもしれませんが、会計業界では税理士試験の受験者数の減少や離職率の高さから人手不足が慢性化しているため、開業している税理士でも仕事の需要があるのが現状です。
しかし、開業した税理士がバイトばかりしていると、本来の目的である顧問先開拓の営業に時間をかけられず、いつまでたっても自分の顧問先が獲得できないというジレンマが生じます。
税理士事務所の看板を掲げてさえいれば、顧客の方から来てくれた時代があったようですが、今は看板だけで仕事が取れる時代ではないことは明らかです。
会計事務所の規模は関係ない
『勝ち組税理士』と『下請け税理士』の比較において、会計事務所の規模の違いは関係ないと思います。確かに単純に考えると、大手の会計事務所に勤務する方が勝ち組のような気もしますが、税理士という業種に限ってはこの限りではありません。
大手の会計事務所に勤務していても代表税理士のみが勝ち組で、立場が従業員の税理士は有資格者でも少ない給与で定年まで働くケースもあります。
逆に、小規模な会計事務所に勤務していても、大手会計事務所で勤務するよりも稼いでいる人もいるため、単純に比較できないためです。これは福利厚生や安定性についても同様です。
まとめ
税理士の格差が広がっていくことで、今後増えるであろう『勝ち組税理士』と『下請け税理士』について個人的にまとめてみました。
特に開業しても営業が苦手な税理士は、下請け税理士を続けていく可能性があります。せっかく開業したのに独立前のように他の税理士の手伝いをしているのは本意ではないはずです。自分も含めてなんとか勝ち組税理士になる努力が必要なのかもしれません。