消費税の軽減税率がいよいよ始まるようです。と言っても政治・政局の都合でどうなるかわかりませんが・・・
しかし、実務上は着々準備が始まっていて、国税庁でも全国で一斉に事業者向けに消費税の軽減税率の説明会を開催しました。
税理士の自分は研修会でちょこちょこ勉強していますが、その内容が一般の事業者向けの説明と違いがあるかチェックしようとこっそり参加してみました。
そこで、説明会の内容と感想をおおまかに紹介します。軽減税率の説明会は2017年11月終わりまで開催しているので、事業をしている方は参加してはいかがでしょうか。
軽減税率の実施時期や対象品目
まず消費税法がいつから改正されるかなど概略の説明があります。税理士は研修会で勉強しているので、スムーズに頭に入ってきますが、はじめて説明を受ける飲食店オーナーなどの事業者には、スピードが早く感じると思います。そのため、説明会で聞いた内容を改めてテキスト(会場で配布されます)で勉強する必要がありそうです。
なお、消費税法の改正内容は以下のとおりです。
消費税が10%に増税されるのが平成31年(2019年)10月で、それに合わせて「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行で定期購読される新聞」が8%の軽減税率の対象となります。
税務署の説明を聞いていて、軽減税率の対象品目の区分けで大変だなぁ。と思ったのは次のようなものです。
◯ 居酒屋やレストランの店内飲食は10%だが、テイクアウトは8%となるので、購入前の確認が必要
◯ お祭りの屋台など飲食設備がない場合は8%でOKだけれど、フードコートでの飲食は10%
◯ フードコートやコンビニのイートインでの飲食も10%となるので、レジでの事前確認が必要
◯ 新聞の定期購読は8%だけれど、電子新聞は10%
はっきり言って小規模の事業者にとっては、事務負担が増えて対応できるか疑問です。説明会の内容を聞いて一発で理解できて、実行できる人がいたら天才だな。と思ってしまいました。
消費税の計算方法の特例
続いて確定申告での消費税の計算方法についての説明があります。
簡単に説明すると、原則としては消費税の税率ごとに集計して消費税を計算しましょう。ということです。
しかし、一般的な事業者に細かい集計をお願いしても大変だろう。ということで簡便的な方法で計算しても良いですよ。となっています。
感想としては、消費税の計算方法自体わからない事業者にとっては、ちんぷんかんぷんだと思う説明とスピードでした。これはもう消費税の納税義務者になったら税理士に業務を委託しないと対応できないレベルの事務負担だな。と思いました。
軽減税率対応のレジ導入補助金と帳簿・請求書
次に、軽減税率の導入に伴って、レジを購入したり、改修するための費用を一部補助します。という説明があります。
補助金にはA型とB型がありますが、飲食店など小規模な事業者はA型になります。
また、帳簿の記載方法や請求書等の記載と保存方法についても説明があります。古い会計ソフトやレジスター・請求書の書式を使っていると、消費税の軽減税率に対応できませんよ。という注意喚起です。
感想としては、補助金の申請受付期限が平成30年(2018年)1月ですが、申請のタイミングが機器購入後または改修完了後となっているので、期限ギリギリに動き始めても、ベンダーの在庫がなくて申請のタイミングを過ぎるケースが出てくるかもしれない。と思ったりしました。やるなら早めに動く必要がありそうです。
また、60歳以上でほそぼそと事業を継続している人にも、一律に新しいことを要求しているわけですが、新しい設備費用を求めることや、新しい勉強をすることを面倒に思って、廃業を決断する人も出てくるのかなと。思ったりしました。
価格転嫁対策
さいごに、増税に伴う広告や値引き・価格表示の注意喚起がありました。
下請けや小売に対する買い叩きの禁止や、増税分(2%)の値引きを禁止しています。
感想としては、通常の値引きはOKだけど、消費税分の値引きはNG。ということで、区分が不明確でグレーだなぁ。と思いました。
まとめ:事業者ならひとまず勉強はすべし
事業者向けの消費税の軽減税率の説明会に参加した感想を書いてみました。
予定通りに消費税が増税されるかは知りませんが、実際に事業を営む人は、どちらにしても勉強はしておいたほうが良いと思います。
説明会の日程や会場の詳細は、国税庁のホームページから参照できるので、事業者は参加してはいかがでしょうか。
なお、飲食店以外の人も、軽減税率の対象品目を購入したり、新聞を購読しているケースはあるので、業種にかかわらず勉強しておく必要があります。
[参考ページ]
引用│国税庁ホームページ