島田荘司『占星術殺人事件』を読みました。
ミステリー小説の大家のひとりである島田荘司氏、その中でもオススメ作品としてよく紹介されている同作ですが、同氏の作品は一冊も読んだことがありませんでした。なぜなら、生まれる前の作品が多く、本作も1981年の作品で読むのをためらっていました。
ですが、よく読んでいる作家である伊坂幸太郎氏が信者ということを知ったのをきっかけに読んでみました。
実際に読んでみると、読者への挑戦状がある本格ミステリーで、やはり読んでおくべき作品だったと思いました。
あらすじ&感想 ※ネタバレなし
とある画家がアトリエで殺されているのが発見される。そのアトリエは密室で、そこから画家が書いたと思われる手記が発見される。
その手記には、占星術になぞらえアゾート(完璧な女性)をこれから創造すること、そしてその材料に6人の女性の肉体を使うことが記されていた。
画家の死後、実際に6人の女性(実の娘、後妻の連れ子、実弟の娘)が行方不明になり、遺体として日本各地から発見される。
しかもその遺体は、全員がそれぞれ体の異なる一部分が欠損していた。その欠損部分を全て繋げるとアゾートが完成するが、そのアゾートは発見されていない。
昭和11年に起きたこの事件は、その40数年後に関係者と思われる警官の手記が、主人公の御手洗のもとに転がり込むことで進展することになる。
ワトソン的役割の石岡君と共に、御手洗は事件の謎に挑む!
主な謎は4つ
1つ アトリエの密室トリックと犯人
2つ 一枝の犯行は一連の事件と関係あるのか
3つ 6人の女性を鏖殺した犯人
4つ アゾートは何処にあるのか
感想としては、読後感スッキリです。
ミステリー小説を読んでいても謎を解く気がないので、読んでいる途中は積もっていく謎にかなりイライラします。
しかし、読者への挑戦状の後の解決編、そして犯人の手紙を読むことで、すべての謎が解決して、気持ちがスッキリします。
文量としても、ズッシリとする量で、解決編までは長く感じてダラダラしますが、解決編からはページをめくる手が止まらずスラスラ読むことができます。このスッキリ感がミステリー小説の醍醐味だと思います。
このスッキリ感を体感したい人は、是非読んでみてください。