美容室の開業資金の調達方法といえば何を思い浮かべるでしょうか?
日本政策金融公庫の創業融資でしょうか? 信用保証協会の制度融資でしょうか? それとも親からの出資でしょうか?
2011年頃から、金融機関からの融資の他に、手軽でシンプルに開業資金を調達できる方法が増えてきました。それが『クラウドファンディング』です。
クラウドファンディングは金融機関からの資金調達と違い、不特定多数の方から1口数百円から数万円の資金を集める資金調達の方法です。
多くのファンをつくると、数日で数百万円を集めることもできますし、中には合計で1,000万円以上の出資を集めたプロジェクトもあります。
そこで、これから美容室を開業する人のために、クラウドファンディングの基本と、実際に目標額を達成したサロンのプロジェクトをまとめてみました。
年々市場が拡大するクラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語です。
クラウドファンディングを目的としたサイトに、自分のプロジェクト(事業)を公開し、それに賛同した不特定多数の人から小口の支援金を集める方法です。
支援金額は、1口数百円から数万円ほどの少額で、一人ひとりの負担は大きくないのが特徴です。
成功した多くのプロジェクトは100万円前後のものが多いですが、多くのファンを獲得することで1,000万円以上の資金を集めたプロジェクトもあります。
なお、クラウドファンディングの種類には、リターンの必要がない【寄付型】や、商品やサービスを事前に買う【購入型】、配当などのリターンがある【投資型】、返済が必要な【融資型】などいくつかの種類あります。
金融機関の創業融資とクラウドファンディングの違いは、前者は融資を受けると、利息と元本の返済をするのが基本に対して、後者は『投資型』や『購入型』など支援方法に多様性があることです。
クラウドファンディングのメリット・デメリット
クラウドファンディングのメリットは、プロジェクトの内容が優れていると、手軽に開業資金とファンを獲得できる点です。
しかし、その反面、プロジェクトの内容を多くの人に公開する必要があることや、支援金を獲得しても事業を停滞することでファンを失望させるデメリットがあります。
【メリット1】開業資金の調達の手軽さ
日本政策金融公庫から創業融資を受けるには、自己資金が必要となりますが、クラウドファンディングは自己資金の要件はありません。
プロジェクトの内容が優れていて、賛同してくれる人が多ければ、多くの資金を調達することが可能です。
また、クラウドファンディングでは、融資型を除き返済の必要がないのが、金融機関の融資と違います。
【メリット2】開業前のファンの獲得
金融機関の創業融資では、開業してからお客さまを獲得していくので、軌道に乗るまでは赤字となるのが前提です。
しかし、クラウドファンディングでは、プロジェクトの内容をPRし、これに賛同してくれる人から資金を獲得するため、開業前に既にファンを獲得していることになります。
購入型では、開業前に売上予想ができるため、開業した年度から黒字を出す可能性もあります。
【デメリット1】事業内容(プロジェクト)の公開
資金を集めるために、不特定多数の人に自分の事業内容を公開するため、事業によっては公開したくない内容も公開する必要があります。
目標金額を獲得するために、ファンができるような魅力的な事業を公開しつつも、重要な部分を隠して競合企業に盗用されないバランスが必要です。
【デメリット2】事業の停滞
クラウドファンディングが成功して資金を調達できたとしても、その事業が進まないと、出資者に対する責任問題が生じる可能性があります。
不特定多数の人から支援を受けるクラウドファンディング特有のデメリットです。このよな事態を避けるために、事業の進み具合や進捗状況をSNSなど通じて報告することが重要となります。
まとめ:クラウドファンディングは第3の資金調達方法
年々増加しているクラウドファンディングの基礎知識と実際に資金を獲得したサロンを紹介しました。
実際に見てもらうとわかりますが、多くのプロジェクトの目標金額は100万円前後で、開業資金のうち、特定の目的のためにクラウドファンディングで資金を募るという内容がほとんどです。
それを考えると、開業資金の調達方法の優先順位は、やはり日本政策金融公庫の創業融資が最も高く、特定の目的のためにクラウドファンディングを併用するというのが効果的なようです。
ただし今後の市場の拡大次第では、開業資金に占めるクラウドファンディングの割合が増えるかもしれません。
これから開業する美容師さんは、魅力的で尖ったプロジェクトについては、手軽に始められるクラウドファンディングを利用してみてはいかがでしょうか。
