宮部みゆき『名もなき毒』を読みました。
杉村というサラリーマンが主人公の現代ミステリー小説です。
『誰か』という作品の次に出たのが本作で、杉村三郎シリーズ2作目になります。(3作目は『ペテロの葬列』です)
1作目も3作目も読んでいませんが、面白く拝読しました。
あらすじと感想
主人公の杉村三郎は、大企業の今多コンツェルンの娘婿というエリートビジネスマンのように見えますが、実際はごく普通のサラリーマンです。
主人公の杉村には義兄が2人おり、その2人が今多コンツェルンの後継者となるため、杉村三郎自体は全く期待されていません。逆に平凡であることを期待されているほどです。その理由は本書を読むと分かります。
そんな杉村は今多コンツェルンの社内報を作る広報室に属していますが、そこのアルバイトの原田いずみが本作のキーマンです。
協調性が全くない原田いずみは、常に周りとトラブルを起こし首になってしまいますが、首になってもトラブルは続きます。
またそれとは別に、もう一つの物語として、世間を賑わす無差別毒殺事件も起こります。
この2つの物語が、平行して進み、その中心に杉村が巻き込まれつつ関係していくお話です。
なお、名もなき毒という言葉は、いろいろな意味を含みながら頻繁に登場し、物語の核心にも通じています。
どこにでもいるサラリーマンが主役となる日常系ミステリー小説で、とても面白いのでオススメです。
宮部みゆきの作品はたくさん読んできました。ズッコケ三人組などの学童小説を卒業してはじめて読んだのが宮部みゆきです。
『理由』からはじまり『模倣犯』、最近では『ソロモンの偽証』も読みましたが、どれも長い!!そして面白い。
相当の覚悟を持って読まないと読みきれませんが、途中からはページをめくる手が止まらなくなるもの常!
また、宮部みゆきの時代小説も大好きで『ぼんくらシリーズ』は非常に面白くファンです。
三島屋シリーズは読んだことがないので、少しずつ読んでみたいです。