書店に平積みされているビジネス書でよく見かける相続税対策が養子縁組です。
養子縁組は相続税計算上のメリットがありますが、逆に相続人同志の争いの種になる可能性もあります。
そのため、養子縁組には慎重さも必要です。
相続税上の養子縁組のメリット
養子縁組には相続税上のメリットがいくつかあります。
平成30年時点で利用可能な節税ポイントは以下のとおりです。
なお、相続税法の改正でこれらの項目が使えなくなる可能性もあるため、定期的に制度を確認する必要があります。
基礎控除額が増やせる
相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」のため、養子縁組で法定相続人が一人増えると600万円の基礎控除額が増えます。
生命保険金の非課税枠を増やせる
生命保険金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」のため、養子縁組で法定相続人が一人増えると500万円の非課税金額が増えます。
累進課税率を下げられる
相続税の税率は、遺産が増えるほど税率が上がる超過累進税率のため、養子縁組で法定相続人が増えると、一人あたりの遺産が減り税率が低くなります。
養子縁組の制限
相続税の計算でメリットのある養子縁組ですが、この制度を悪用して、たくさんの人数を養子にする人が出てきたため、養子の数を制限する改正が行われました。
なお、この改正は相続税法の話のため、民法上は何人でも養子縁組できます。
・実子がいる場合は、養子は「1人」まで
・実子がいない場合は、養子は「2人」まで
養子縁組が相続人の争いに発展するケース
上記のように養子縁組を上手に使うことで、相続税の計算を有利にすることができます。
しかし、養子縁組をしたことで相続人同志で争いが起こり、遺産分割協議がまとまらないケースもあります。
具体的には、実子が複数いるにもかかわらず、そのうちの孫一人だけを養子にするケースです。
このケースだと、養子縁組されていない実子の法定相続分は、養子縁組前よりも減少することになります。
法定相続分が減った実子は不平等感が生まれ、法定相続分だから平等だと主張する兄弟姉妹と揉めやすくなります。
祖父としては、良かれと思ってした養子縁組が、実際には争族に発展する可能性があります。
養子縁組をする際の注意点
- 実子がいない場合
- 後を継ぐ子供がいない場合
- すべての実子が納得している
- よく話し合って納得している
上記のような条件を確認して養子縁組をすることで、ある程度トラブルを回避できます。
それでも、実際に相続が発生すると、揉めるケースがあることも事実です。