どの業界でも人手不足が叫ばれるようになりました。
それは会計業界も同じで、自分が以前に勤めていた会計事務所でも、2年間に4人が入社し5人が辞めていきました。
人口減少の時代では、安定した従業員を確保することが難しくなってきました。
この流れは、単純作業をするパートやアルバイトでより顕著です。
そんななかで、特定の従業員にこだわらずフリーランスとの契約する企業が増えてきました。
人を雇うメリット
人を雇うメリットは、当然ですが業務量を分担できることです。
一人ではやりきれない仕事でも、仕事を分担することで、一人あたりの作業量は減ります。
単純作業であれば、時間給のパートやアルバイトでも構いませんが、専門的で知識や経験が必要な行は正社員として雇うほうが合理的です。
また、専門性が重要な業種やノウハウを外部に漏らしたくない業種では、特定の従業員を雇うことで情報漏えい防止の役割もあります。
人を雇うデメリット
反対に、人を雇うデメリットは、まず事務負担の増加があります。
従業員を一人で雇用すれば労働保険への加入義務が生じますし、法人だと厚生年金・健康保険への加入義務も生じます。
同じように、所得税を天引きする源泉徴収義務が生じますし、年末には所得税を精算する年末調整の必要もあり、雇用側の事務負担は大きく増えます。
またコスト以外の面では、教育も必要になります。
専門性の高い業種では教育の期間も長くなります。にも関わらず、ノウハウだけ吸収されて辞められると大きな損害になります。
人手不足の時代は雇用が減り外注が増える
最近では、人の代わりにITやAIを活用することで、人手不足に対応する企業も増えています。
従業員ではなく登録した一般人が料理を配達するウーバーイーツなどが良い例です。
また、大人の家庭教師という企業も、実際に家庭教師を雇うわけではなく、専門知識を持つ人に登録してもらい、生徒と先生をマッチングしているだけです。
これらの企業は雇用ではなく外注という形態をとり、特定の従業員に依存しないことで、急に辞められるリスクに対応していると思われます。
会計業界でも、簿記3級や2級の知識を持つ専業主婦に登録してもらい、単純な経理を頼みたい会計事務所と空いた時間に在宅で仕事をしたい主婦をマッチングする企業がそのうち登場すると思います。
ただし、会計業界は情報漏えいの観点で、税理士法の壁があるかもしれません。(よくわかりませんが)
給与と外注の税金
給与と外注はどちらも人件費という点では同じですが、税金の取り扱いは大きく違います。
給与だと、雇用主は社会保険へ加入手続きをしたり、源泉徴収や年末調整をしなければなりません。
しかし外注だと、このような手続きや義務がないため、雇用側の負担は大きく減らせます。
ただし、外注費(報酬)を受け取る側は、フリーランス(個人事業主)という立場になるため、自分で確定申告をする必要が生じます。
最近では、システムエンジニアやビル管理人、面貸し美容師など、給与契約から業務委託契約に切り替える企業が増えてきました。
まとめ:フリーランスの税制の整備が必要
人手不足から特定の従業員を雇う企業は減り、不特定多数のフリーランスと契約する企業が増えるという記事を書いてみました。
働く世代が減るのは自然な流れのため、企業としてはより広い範囲から従業員を確保する必要が生じます。
そうなると、一人ひとり社会保険へ加入することや、給与計算することは企業の負担増につながるため、より簡単な外注という契約に切り替えていくことが予想できます。
しかし、フリーランスは個人で社会保険に加入し、確定申告しなければなりませんが、その手続きをわからない人が多いのも事実です。
社会保険庁や国税庁では、より簡単で誰でもできる制度を整備する必要に迫られるかもしれません。