世の中には節税の情報があふれています。保険を使ったスキームや、組織再編を使ったスキームなど様々です。
中には、脱税まがいのタイトルの本に惹かれて、買って読んでみると内容の薄っぺらさにがっかりさせられるものもあります。
個人的な意見ですが、複雑な節税は嫌いです。
節税と脱税の違い
節税も脱税も税金を少なくするという意味では同じですが、決定的に違うのが前者が合法で、後者が違法という点です。
合法的な節税は税理士としてもオススメしますが、非合法な節税は節税とは呼ばず脱税となります。
脱税すると、税務署から指摘を受け、追徴金の課税と、罰金を納付することになります。
税理士はそのリスクを十分に理解しているためオススメしないですが、納税者はリスクを知らないのか脱税に手を染める人もいて、たまにニュースで流れます。
節税方法の考え方
節税の考え方は、基本的には次の3つです。
お金を使うことで経費を増やす
最も単純な方法でお金を使って経費を増やす方法です。
中小企業や個人事業主でも使いやすいのがメリットです。
たとえば、社用車として中古の自動車を購入したりするケースです。
しかし、なかには経費に該当しないものまで経費にすることで、税務調査で指摘を受けることがあります。
くれぐれも経費の判断は慎重に行いましょう。
利益を翌年以降に繰り延べる
お金を使う点は上記と同じですが、使ったお金が数年後に返ってくることで、課税されるのを数年後に遅らせる方法です。
事業年度が終わる直前に加入する保険商品などがこれに該当します。
保険会社でも全額損金や解約返戻金が多い節税商品を用意していて、営業さんが税理士に商品説明に来たりします。
この節税の特徴は、税金が発生するのは同じだけれど、実際に課税されるのが数年後というところです。
税率の差額を利用する
この節税方法は、税金の種類によって異なる税率を利用したものです。
たとえば、法人税は30%前後の定率ですが、所得税は所得が上がるほど税率が上昇する超過累進税率です。
同族会社では、この税率の差を利用して、家族を役員や従業員にすることで、それぞれに給与(会社では経費)を計上します。
一人ひとりの給与は多くないため所得税の負担は、一人に支給するよりも下がるというロジックです。
すごい簡単のように思えますが、税務署でも労働実体のない親族に対する給与を否認することもあるため注意が必要です。
さらに最近では、国際的な税率の差を利用した節税(タックスヘイブン)もありますが、ここまで行くと複雑過ぎて中小企業や個人事業主、そして普通の税理士には手が終えません。
複雑な節税よりもシンプルな節税がオススメ
複雑な節税には、長期的に管理運用する知識と忍耐力が必要です。それができずに逆に税金が増えるケースが結構有ります。
それよりも、将来に投資するという観点でお金を使えば、節税という短期的な効果と、将来の売上貢献という長期的な効果が見込めます。
必要な設備投資をするのもありですし、人に投資するという意味で決算賞与を出すのも節税になります。
ただし、無駄な設備投資や、無駄な決算賞与を出すことは、キャッシュフローの悪化につながるため危険です。
キャッシュフローを危険に晒すくらいならば、税金を払ったほうが手元に残る金額が大きくなることもあります。
節税は単純に税金が減ればいいというわけではありません。
将来を見据えて経営者が判断すべき決定事項の一つになります。