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門井慶喜『家康、江戸を建てる』を読みました。

本作は、第155回直木賞の候補作にもなった作品です。(受賞は『海の見える理髪店』)

家康が江戸幕府を開くまでに、実際に江戸の基礎を作ったその時代の人たちにスポットを当てた5つからなる連作集です。

読書日和│門井慶喜『家康、江戸を建てる』

あらすじ&感想

徳川家康は、小田原城攻めの際に、豊臣秀吉から関八州(関東)を褒美としていただくが、その時代の関東地方は現代とは全く違う低湿地帯だった。

『断るべき。』という家臣達の進言にかかわらず、駿府城を捨て江戸城へ移る。

米が作れない。人も住めない。という関八州を家康は、いくつもの大規模な普請(プロジェクト)を経て、後の100万都市となる江戸の礎を築いていく。

1.低湿地帯で人が住めず、米も作れない → 利根川を東に曲げてしまう

2.貨幣制度で豊臣家に挑む → 高品質の小判の製造

3.人口増加の問題 → 飲み水を引く

4.豊臣家との決戦 → 巨大石垣を積む

5.戦の時代とは違う象徴 → 天守閣の築城

感想としては、歴史的、地理的、数学的と複数の視点で楽しい作品でした。

ちょうど大河ドラマの『真田丸』をイッキ見した後だったので、歴史的事実と重なりました。小田原攻めから始まり、関ヶ原、そして大阪の陣へと歴史的にも大きな戦が起こっている裏で、江戸の町が発展していく様子がよくわかります。

また、東京の地名がたくさん出てきますが、その由来がよくわかります。

利根川の東遷普請した伊奈家から現在の伊那市が生まれたこと。小判を最初に製造したのが現在の日本橋付近で、そこに現在の日本銀行があること。家康が鷹狩りを楽しんだ場所が現在の三鷹であること。現在の井の頭公園の池から引いた水を江戸に引く際に、濠(ほり)越えるためにつくった水道橋(すいどうきょう)がある場所が現在の水道橋であること。

地名として知っているけれど、意外とその由来は知りませんでした。

最後に、経済的に江戸を建てるという大プロジェクトが、現在の公共工事該当し、人々の生活を潤しているということ。各大名にお金を出させることで経済的に弱らせ、相対的に徳川幕府の権力を高めていること。など勉強になりました。

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